

初めに・・・近年の大文字草は初期の品種に比べるとかなり丈夫になってきたように思います。紅花大文字をより濃色にするため交配を重ねていたわけですが濃くなればなるほど耐暑性が低くなりました。また交配が進むにつれて変化花が多く現れるようになりました。それらもまた暑さに弱いものでした。その後交配の過程で黄花系品種との雑交配が進みそのあたりから性質も強くなってきたと感じております。現在の濃紅色系実生花も見た目は全く紅花ですが当時の黄花系品種の血が潜んでいるのではと推測します。
経験・・・以前2.5号の小さなポット仕立ての紅花大文字草を数株ずぼらにも盆栽棚に放置していたことがあります。盆栽棚ですのでもちろん直射光下です。植え替えもされないまま毎年可憐な紅花を咲かせていました。肥料など全くやりません。株は何年も同じサイズです。このあたりに枯らさない秘訣があるように思うのです。まず第一に肥料をやらなかったのが幸いしたということ。日照は強いけれど風通しは良いということ。大文字草は強いものだと思いました。条件の整った生産者が作る肥培された立派な株を作ることは諦めて可憐さだけでよいという感じの栽培を心がけたらよいのではないでしょうか。立派な株に挑戦するのはよいですがとりあえず枯らさない栽培法を実践するわけです。自信が付いたら少しづつ前に進めばよいでしょう。一番問題なのは肥料です。春から梅雨明けくらいまでは肥料をやればどんどん大きく立派になりますが夏から秋にかけて傷んでしまうことが多くなります。肥料をまずは控え目にしましょう。日照は春先は50%くらい、夏は80%くらいです。このとき気をつけなくてはいけないのが遮光が強ければ強いほど風通しは必要になるということです。また芽出しから1ヶ月くらいは直射でも問題ないと思います。姿的にも締まった葉姿にするには最初が肝心です。
消毒・・・殺菌剤・殺虫剤は必要です。特に殺菌剤は夏の暑さを乗り越えるためには必要となりますが一般の愛好家の方が何種類もの薬剤を使うとは思えませんので、手持ちのベンレートやダイセン、トップジンなどで試みて下さい。ただし前述した盆栽棚の大文字草は殺菌殺虫しませんでした。
植え替え・・・大文字草は冬寒さに当てる植物ですので凍結によって崩れない堅めの用土を使うのがよいです。当園では日光砂を使用しています。植え替え時期には三つのタイミングがあります。休眠期の冬場、新芽から根の下り始めている梅雨時、それと秋口です。何れの時期も古い用土は完全に落とすようにします。性質の弱い品種ほどこれを実行しなければなりません。冬場の植え替えで問題なのは凍結によって根の張っていない大文字草の株が持ち上がってしまうことです。寒さ的に問題のない大文字草はこの時期植え替えしたいのですが寒さにも当てないといけないため実際には躊躇する時期なのです。愛好家の方の数量であれば用土の上に何かかけておけばよいでしょう。休眠期中の植え替えでは古根は半分切り捨てます。植え替えの時マグアンプKを混入しておけば1年間それだけでも育ちます。枯らさないためにはむしろそれだけの方が良いかもしれません。次は梅雨頃の植え替えです。一年持ち越して休眠期中に植え替えできなかった株はこの時期に植え替え出来ます。新芽から根が下りていれば細かい株分けも可能です。株の状態にもよりますが回りの用土を少し落として行う方法もありますが、基本は古土は全部落とします。植え替えた後は気温も高くなっていますので日陰の涼しいところで様子を見ます。最後は秋の植え替えです。花の鑑賞後では少し遅すぎます。今年の観賞よりも来年のことを考えてならばこの時期の植え替えは有効な手段です。秋口に植え替えた後寒くなるまでに根が動きますので凍結による株の持ち上がりが回避されます。
大株・・・大株作りには二通りあります。一つは年々鉢をゆるめていく方法です。その場合根鉢を崩さないで行っている方が大半だと思いますが2年に一度は古土は完全に落とした方がよいです。もう一つは取り合えず小分けして出来るだけ小さめのポットに苗を作っておきます。それを梅雨時頃化粧鉢などに寄せ植えします。特に大株にはこの方が良好かつ充実した株立ちができると思います。